2017年8月10日木曜日

ハービー・コックス「世俗化」はどうなった?

ハーヴァード大学神学部(Harvard Divinity School)の有名教授ハービー・コックスが同校の創立200年祭の同窓会で「Whatever Happened to Secularization?」について話した。


1965年に『世俗都市The Secular City)』を出して世界中で売れに売れ、一躍有名になった。

それから50年経って「一体『世俗化』はどうなったんだ?」と聴衆に問いかけた。

その時のビデオがこれだ。



全体でも43分のトークは間に聴衆とのQ&Aを挟んだ、かなり砕けた感じのもの。

話題も豊富で面白いと思う。

コックスはバプテストの牧師で話しぶりも結構ミドルクラス的で親しみやすい。

とてもアイヴィーリーグの教授と言う雰囲気ではない。


トークは『世俗都市The Secular City)』出版とその後のエピソードから始まる。

この本はボンヘッファーの獄中書簡にある「非宗教的キリスト教」の問いに呼応して書かれたものであることをまず紹介。


宗教は「公共圏」から撤退し、近代化とともに衰退する・・・という「世俗化説(secularization thesis)」はこの50年で一体どうなったか・・・。

反証として挙げられたのはガンディー、キング牧師、マルコムX、それにフランシス教皇など。
(特に教皇との個人的謁見では去り際に教皇から「祈ってほしい」とリクエストされたことを紹介している。)

「世俗化」は結局世界的な潮流にはならず、ヨーロッパ及び北半球限定のものであった、という見方を強めている。
(メキシコのある神学校訪問でのエピソードで、この世俗化潮流に対抗することを「非神話化」ならぬ「非北半球化」と造語されていたことを紹介している。)

聴衆の質問の中には、北半球では「既成宗教」は数字的にはっきり衰退しているが・・・という問いにも、最後にまとめとして展望していたのは「聖性の分散化(dispersal of the sacred)」だった。

トークの中で、(1967年頃)キング牧師にバーミンガムに来て講演してほしいと頼まれたが、「えっ私が。なぜ」と思って問い返したところ、キング牧師から言われたことが・・・現在の日本の福音派教会も含めて・・・「えっ」という感じのものであった。(自分で聞いてのお楽しみ)


というわけで、全体的に聞きやすいしおすすめです。

2017年8月9日水曜日

自由主義 vs 根本主義

20世紀前半、1925年の『スコープス・トライアル』の前と後で、アメリカ・プロテスタント・キリスト教の様相が大きく変わった、とこの研究分野で第一人者ジョージ・マースデンは言う。


キリスト教保守派が一致団結して『ファンダメンタルズ』を出版したのは1910-1915。この攻勢に対して自由主義陣営は極めて「音なし」だった、とされてきたようです。

今朝このようなツイートがありました。


ちょっと判読しにくいですが、「いや彼らは充分に(ファンダメンタリストたちの攻勢に、『ファンダメンタルズ』に)気づいていた」のが分かる「インサイダー情報」だ、とこの手紙を発見して報告しています。

これに触発されて、おもにアメリカ宗教史家たちの会話が続いています。

興味のある方はどうぞ。

(よりこの論争の焦点や背景を知りたい方には、この記事などどうでしょう・・・。)